2011年 11月 03日
ちょっと語ります。 この近江路・仏女ブロガーの旅が湖南地方に決まり、事前に下調べをしていた時に、一つの記述が目に留まりました。 それは、東門院について書かれていました。 【東門院】 比叡山延暦寺の東門として建立されたのが始まりと伝えられる。 比叡山を守るという意味で「守山寺」とも呼ばれ、地名も守山を賜った。 !!! (比叡)山を守るから、守山?! 守山という地名にそんな由来があったなんて! 京都で生まれ育った身としては、これまで幾度となく目にしてきた“守山”という地名。 しかし、目にする度にどこか引っかかるものがあったのです。 通常、地名はその土地の地理的な特徴を表すことが多いのですが(“大津”とか“長浜”とか。)、なぜか守山は“守る”というとても人間臭い言葉が入っているのですね。 これがその違和感を覚える原因だったと思うのですが、 なぜ、“守る”? “守る”って? 今回の旅を契機に、長年密かに抱いてきた違和感が氷解しました。 比叡山を守るから、“守山”って言うんだ! 一人で興奮しています… 単純ですみません。。 これはもう、東門院を訪れねばなりますまい。 しかし… あらかじめ東門院さんのホームページから拝観の可否について問い合わせするも、出発日まで何の回答もなく。 まあでも、その地に立つだけでも良しとしましょう! 昂ぶる気持ちを抑えながら、東門院さんを訪れたのでした。 ※「境内での写真撮影は住職の許可を得てください」との貼り紙があったため、今回は室町時代建立の仁王門だけを撮影しています。 平日の昼日中ですので、訪れる人もたま~にポツリポツリといった風で、境内はいたって静かです。。 一通りグルッと周り、本堂には鍵が掛けられていることを確認。 うーむ、こうしてここに来られただけでもいいか… と思いつつ、当初の思い入れが強かったためやはり名残惜しい気持ちもあり、すぐに立ち去り難く、所在無げにウロウロしていると… ガラガラと戸をあけて建物からご住職らしき人が出てこられました。 あ、と目が合って、こんにちは。 えい、思い切って聞いてみましょう。 私「こちらは中の仏様を見ることはできないのでしょうか?」 住「団体さんは受け付けてますが、個人の拝観は受付してないのです。」 ご住職のお話によると、以前は個人拝観も受付していたらしいのですが、予約をすっぽかしたり勝手に変更されたりすることが多発したらしい。 その度に警備装置を切ったり入れたり、また丸1日時間が潰されたりするので非常に困り、現在は個人拝観を断っているとのこと。 そうですか… それなら仕方がありませんね。。 と辞しようとすると、そこからご住職のお話が止まらない止まらない。 東門院の縁起に始まり、守山宿の復興に向けた取り組みについて、昨今の政治情勢に対する提言などなど、 合いの手を入れる私も私ですが、もっぱらご住職から次々に繰り出される貴重なお話を興味深く拝聴いたしました。 ずっと立ったまま。。 …一時間経過。 止まるところを知らぬご住職のお話ですが、さすがに次の予定もあることですし、何よりもご住職のお時間をこれ以上割いてしまうのは心苦しいので、 私「そろそろこの辺で…」 と申し上げて帰ろうとすると、 住「仏さん見ていくか?」 え? ええ? えええ~~!! い、いいのですか!? 住「ちょっと警備を解除してくるわ。」 えええ~~! 放心状態のまま待っていると、作務衣に着替えたご住職が鍵を持って登場。 なんと、ご本尊の十一面観世音菩薩立像を間近で拝見することできました! しかもご住職直々の解説+ペンライト照明付きです。 さすがに撮影を…と申し出ることはためらわれましたので、お写真はございません。 一本木造りの観音様。 見た目は素朴で、どこか粗削りな印象を受けました。 琵琶湖の水面に毎夜光るものがあり、網を投げると十一面観世音菩薩像が現れたという逸話があります。 その他、本堂では昔の高札が掲げられていました。 こんなもの要らないだろう、と処分されかかったものを、先代が譲り受けて保存されていたとのこと。 そこに書かれている内容は、「毒薬ならびににせ薬種売買の禁止、にせ金銀の禁止」などなど。 昔も今も、人の営みは大して変わらないのですねぇ、とご住職と頷きあったのでした。 念願の観音様にお目通し願え、もう思い残すことはありません。 感謝の意を述べて辞そうとすると、 住「お不動さんも見ていくか?」 えええ~~! 見ます見ます! 不動堂の中に安置されている、重要文化財の不動明王坐像ともご対面させていただきました。 半六の大きさは近江一、全国でも十体の中に入るといわれる大きなお不動さま。 黒いお体、背面の赤い炎、憤怒の面。 狭い堂内にお不動様の迫力が満ちます。 不動明王を奉る寺社巡りでは、近畿三十六不動尊巡礼というのがありますが、東門院さんのそれは先代が登録(というのでしょうか)を断わられたとのこと。 我が道を行く、といったところでしょうか。 いやはや、貴重なものを見せていただきました。 もう感動のあまり、感謝の言葉もございません。 住「石造の五重塔も見ていくか?」 はい~、見ていきます~! もうどこまでも付いていきます~! 境内の片隅に立つ石造五重塔は鎌倉時代の造立と考えられており、重要文化財の指定を受けています。 一番下の塔身は前後二つの石からなり、正面は阿弥陀、背面は釈迦と見られる仏坐像を彫刻しています。 東門院に着いてから、かれこれ2時間が経とうとしていました。 ご住職、もうお腹いっぱいです。。 深々と頭を下げ、お礼を申し上げました。 ほんとうにありがとうございました。 言葉にできない感動。 神仏にお目にかかれた事もさることながら、人との出会いに胸が熱くなりました。 元々、1時間もあればグルッと…と予定していた守山散策。 気がつけば、3時間以上が経っています。 あわわわわ。。
by esu-san
| 2011-11-03 15:17
| 近江路・仏女ブロガー旅紀行
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